リッケンバッカーは、ギブソンやフェンダーと比較するとギターとしての人気度、シェアでは劣るかもしれません。
しかし、リッケンバッカーのサウンド、スタイルを愛する人は多く、愛用するミュージシャンも少なくありません。
リッケンバッカーの特徴や音、サウンド。
そして愛用するプレイヤーについてまとめてみました。
目次
1950年代までのリッケンバッカー
リッケンバッカーは、1930年代からスティールギター、スパニッシュギターを製造していた。
当時はエレクトロ・ストリング社が製造するギターのブランド名としての名称だった。
1950年代には、リッキー・ネルソンやサム・クックという著名なアーティストが使用して、その美しいボディ・シェイプとともに人気もあったが、セールス的には成功しているとは言い難かった。
リッケンバッカーを世界的なメジャーギターとして知らしめ、セールス的な大成功を収めるにはイギリスの若いバンドの登場を待たなければならなかった。
リッケンバッカーの特徴
リッケンバッカーの特徴は、メジャーモデル、325・330・360のボディ形状に見られる、大きめのダブルカッタウェイと、ややゆったりとしたボディシェイプの絶妙なバランスから生まれるルックスの美しさだ。
そして、シングルコイル特有の「シャキシャキ感」
ジョンのリッケンバッカーからも、その特徴であるシャキシャキしたギターリフが初期のビートルズで聞くことができる。
これがリッケンバッカーの音だ!
ただ、管理人の独断ではあるが、これぞリッケンバッカーというサウンドは2ピックアップタイプの場合、
スイッチはセンターにしておいて、フロントをフルスロットル。
そしてリアをコントロールしながら、「ジャッキーン」とした音に調整する。
これがリッケンサウンドだと思っている。
ザ・フーの「Pictures Of Lily」、ホリーズの「I’m Alive」、クリエーションの「Making Time」などには「これがリッケンバッカー!」というサウンドを聞くことができる。
リッケンバッカーはジョン・レノンで有名になったが、その後ピート・タウンゼント、ポール・ウェラーが330を手にすることが多く、一般的に人気があるのは330かもしれない。
リッケンバッカーとビートルズ
1960年、ドイツハンブルグ時代にジョン・レノンはリッケンバッカー325を手にした。
トゥーツ・シールマンスにはまっていたジョンは、彼がリッケンバッカーを使っていることを知り、手に入れることにしたらしい。
そのリッケンバッカー325はナチュラルフィニッシュのボディでネックはショートスケール。
トースターピックアップが3個並び、コントロールノブはTVチャンネルタイプだ。
後にジョンは、このリッケンバッカーをブラックにリフィニッシュ、コントロールノブも交換した。
1962年にビートルズはデビュー。
そして1963年には、Please Please Me、I Want To Hold Your Hand、She Loves Youのヒットによりイギリスではナンバー1バンドとなり、1964年2月にはアメリカツアーがはじまろうとしていた。
その時、リッケンバッカー社(正式には1965年から)のセールスマンがビートルズの記事を見て、自社のギターを使用していることを確認した。
リッケンバッカーにとって、大きな転換期になると確信したのだ。
そして、ニューヨークでビートルズとアポイントを取ることに成功。
サボイホテルのスウィートルームに全種類のリッケンバッカーをディスプレイしビートルズを待った。
そしてジョージ以外の3人が現れ、ジョンは12弦ギターを試し、ポールはベースに触れた。
残念ながらジョージはインフルエンザのため、プラザホテルのスウィートに隔離されていたのだ。
どうしてもジョージに会いたいリッケンバッカー一行は、プラザホテルに向かいジョージに会った。
そこで手渡したギターがリッケンバッカー330−12だった。
その330ー12はジョージにプレゼントされ、その後、ジョンとジョージがリッケンバッカーで演奏するショットが世界中で見られるようになる。
これほど効果絶大な広告プロモーションは無いだろう。
リッケンバッカーの独特の12弦サウンドは、ビートルズのヒットチューンとともに世界中を虜にした。
有名な話だけど、ザ・バーズのロジャー・マッギンはビートルズの映画「A Hard Days Night」を観て、ジョージの12弦サウンドにハマり、すぐにリッケンバッカーを買いに行ったそうだ。
リッケンバッカーは一気に世界に知られ、愛されるようになった。
もしジョン・レノンがリッケンバッカー325を手にしていなかったら、ここまで有名なギターメーカーにならなかったであろうことは、誰でも容易に想像がつくだろう。
リッケンバッカーベース
ポールは先述した、はじめてのアメリカツアーで、リッケンバッカー4001Sに触れているが、受けっとてはいない。
ポールの当時の愛用ベース、カールヘフナーに比べて相当重いことが問題だったようだ。
その後、1965年のツアーの時、再度訪れたリッケンバッカー社のセールスマンから4001Sを受け取り、早速部屋で弾きはじめたそうだ。
しかし、実際に4001Sをプレイする機会はなく、ほとんどがサブベースとしてステージの脇に佇んでいた。
(ちなみにジョンの325−12もサブギターとしてバックステージに待機していた。)
1967年頃から、ポールのリッケンバッカー4001Sはレコーディングにも使われるようになり、プロモーションビデオにもよく登場するようになった。
そして、ビートルズ解散後、ポールは4001Sをメインベースとしてステージに立つようになり、リッケンバッカー4001Sは世界的に有名なベースになった。
また当時、イエスのクリス・スクワイヤーも4001Sをはじめリッケンバッカーをメインベースとして使用し、ハードロックバンド、ディープ・パープルのロジャー・クローバーもメインベースとして使用していた時期がある。
ディープ・パープルの「Highway Star」では、「これぞリッケンバッカーベース!」といえるクリアーでハイトーンなベースサウンドを聴くことができる。
リッケンバッカーのベースプレイヤーで重要な人
また忘れていけないリッケンバッカーベーシストがいる。
ザ・フーのジョン・エントウィッスルだ。
彼もリッケンバッカーベースの虜になった一人だ。
ごく初期のザ・フーのライブやレコーディングで4001Sを使用している。
その映像やスチールも多く確認できる。
I Can’t Explain、Happy Jack、Tommyなどでジョン・エントウィッスルのリッケンバッカーサウンドを聴くことができる。
また彼はソリッドタイプのリッケンバッカーだけでなく、フォローボディーの4005も使用していて、映像では映画The Kids Are Alrightの「Tommy」のシーンで見ることができる。
また、ポール・マッカートニーにリッケンバッカーを使うように薦めたのはジョン・エントウィッスルである。
その意味でも、ジョン・エントウィッスルはリッケンバッカーにとっては重要な人物だ。
リッケンバッカーの価格
リッケンバッカーは330で20万円前後。
360で30万円前後。
シリーズによっても金額は違います。
CシリーズやVシリーズは幾分高めです。
325は現在Cシリーズのみのようで、50万円前後と高額になっています。
あなたが325をお探しでしたら、中古で探すのも方法です。
最近では、楽天やWEB上で楽器も買えるようになりました。
しかし楽器は1本1本状態が異なります。
リッケンバッカーの魅力は、
独創的で美しいボディカッティング
ハイブリットなシングルコイルサウンド
など、他のメーカーにない独特な個性です。
「どうしても今すぐリッケンバッカーが欲しい!」
とあなたが思っているならWEBでの買い物でいいでしょう。
しかし、そうでないのなら一度楽器屋さんに行って、実際にリッケンバッカーを見て、触れて、弾いてみてから選ぶことをお勧めします。
ただ残念ながら、最近の楽器屋さんではあまりリッケンバッカーを見ることが少なくなりました。
WEBで買う時は、価格を比較して、疑問点は質問するなどして慎重に楽器を選ぶようにしてください。
また、リッケンバッカーのビンテージに興味のある方はこちらをご覧ください。